コールセンターの新しいパラダイム ~社長コラム 第1回~

バーチャレクス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長の丸山です。このホームページにコラムというページを新たに追加しました。不定期ではありますが、時々思ったことや呟きなどを掲載したいと思います。よろしくお願いします。
CRMの領域に限らず様々な領域で毎年新たなキーワードが流行ります。振り返って考えてみると、あのキーワードはどこに行った?と思うこともしばしばあります。一方であのタイミングで明らかにパラダイムシフトが起ったということもあります。
日本におけるコールセンターは90年代後半から始まり、2005年あたりまでに一通りのコールセンターが構築され、そして肥大化していき現在に至っています。90年代は「コールセンターって何?」と言われるくらい、生活者・消費者の間にコールセンターという単語や機能なども認知されていませんでしたが、今では生活者の認知も高まり「〇〇 コールセンター」などと検索してフリーダイヤルに電話をかけるという流れも当たり前になっています。
このコールセンターの勃興期をコールセンター1.0(CC1.0)とでも呼んでみましょう。CC1.0の期間は、「コールセンターを一生懸命構築し、生活者の認知度を高めた」期間だったのではないでしょうか。結果として日本のコールセンターの6割は問い合わせ中心のコールセンターで、そのコストvs効果に関して経営者は必ずしも納得していない状況でもあります。お客様満足度向上(CS向上)会社の顔サービスレベルKPI管理CRMカスタマーエクスペリエンスなど様々なキーワードが躍り、その中で素晴らしい成果を出した企業も多々あります。それでも全体としては必死にコールセンターを構築し、受電量の増加とともに拡大させ、その過程で問合せセンターを如何に高品質で効率的に運営するためのノウハウを蓄積してきたのがCC1.0ではないでしょうか。
しかし最近は少し異なった流れになっています。生活者はコールセンターに電話して問合せができることを必ずしも便利だとは思わなくなっています。むしろ、面倒だと思う人が増加しています。ガラケーの時代は結局電話しかチャネルが無かったわけですが、スマホを手に入れた瞬間から生活者の求める便利さは、何か気になった時に、手のひらの中のスマホで自己解決できることが求める便利さに変わっています。

デジタルマーケティングや機械学習、あるいはロボットオペレーターなどの技術も進化しています。これらの技術は電話というチャネルだけでは活用範囲は限定的ですが、スマホ(Web)やSMS、SNSなどチャネルの広がりとともに適用・活用範囲が画期的に広がっています。このようなIT技術の進化とチャネルの広がりと合わせて、コールセンターの役割も変わらなければなりません。それは前述のとおり生活者のニーズでもあります。
ここ数年の流れは明らかにコールセンターのパラダイムを変えるものです。言ってみれば、CC2.0(古い言い方ですが)の時代に突入しているのです。CC2.0では問い合わせセンターは縮小しなければなりません。電話やメールの問い合わせを減らし、ユーザーの利便性(即ち自己解決率)を高めることに取り組まなければなりません。同時に、真の意味でプロフィットセンターになっていかなければなりません。デジタルマーケティングを含めた企業の大きなマーケティングプロセスの一部をコールセンターが担い、生活者の「認知」、「興味」、「購入」、「体験」、「満足」、「拡散」の流れに貢献しなければなりません。
CC2.0のコールセンターは、もはやコールセンターという名前ではいけないかもしれません。また、その運営コストに対する効果は1.0の時代よりも数値化しやすくなり、経営貢献度も見える化できるようになるでしょう。そうなるとコールセンター格差も広がってしまうかもしれません。2.0に乗り遅れないように、新たな取り組みにチャレンジしなければならないと言うことです。我々も、そのチャレンジに貢献できるよう頑張りたいと思います。